赤松の石付き(石抱き)盆栽の作り方 – 赤松の植え替えをしました!

赤松の石付き盆栽の作り方 赤松 (アカマツ)
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ザルに植えてある赤松なのですが、あの事件以来根っこが露出したままでずっと気になっていました。1月も半ばになったので、いよいよ植え替えてしまうことにしました。今回はダメ元でまた石付きに挑戦です。石付きは以前長寿梅で挑戦し、見事に失敗してしまったのですが、もう一度挑戦です!

今回植替える赤松

今回のお題はこちら。ザル栽培の赤松です。いろいろあって結局3本しか残りませんでした。

根が表面に飛び出してしまっていたので、乾燥防止に苔の束を乗っけておきました。これは捨てるつもりだったのですがどうも新芽が出てきてくれているようなので、その内細かく切って蒔き苔してみようと思います。

この一番右の赤松が根も露出せず、一番しっかりしています。

左側のもそこそこしっかりしていますね。この子も根が露出してしまっているのですが、まずまずちゃんと立ってくれています。

気になっていたのはこの真ん中の子。根が露出して倒れてしまっています。これを早く植え直したかったんです。

真ん中の苔をどかしてみました。太いのも細いのも、根がかなり露出してしまっています。早くなんとかしないと!

植替え前の準備(石付きのため)

ザルから取り出す

準備といいますか、まずはザルから取り出します。

赤松に手を添えつつ…

ザルをひっくり返します。

うまいこと取り出せました。今日のために数日水やりを控えていましたので、用土もそれなりに乾いていて簡単に取り出せました。

取り敢えず一本ずつバラけます。思った程こんがらがっておらず、そーっと解していったらすぐに3本に分けることが出来ました。

ちょっとだけ石と合わせてみました。んーなかなかいい具合に合う石がありません。石合わせは後回しにして先に準備をしてしまいます。

用土(ケト土)の準備

いろいろ調べてみたところ、石にケト土などを塗らず、そのまま根を巻きつける手法があるというのを見つけました。でもやはりケト土で下地?土台?を作った方がいいだろうという結論になり、長寿梅の時と同じやり方で行くことにします。ただ今回は前回の長寿梅の時のケト土とは少しブレンドを変えてみることにしました。

まずはこちら。百均で買ってきたミニすり鉢とミニすりこぎ。

こちらはだいぶ前に買った盆栽用土の残り。ほとんど粉末になってしまったものもかなりあります。これを全部使っちゃいます。

粉末含めて全部すり鉢に入れ、大きな粒を潰していきます。すりこぎをぐるぐる回す、というよりは上からぎゅっと押し付けて、用土の粒を潰す感じの方がうまくいきました。

まだだいぶ粒が残っていますが、このくらいでいいかな?

次はこちら、水苔です。これも隅っこに溜まっている細かくなったカスの部分を使います。

写真だとよく分かりませんが、用土と同量くらいかな?水苔はこの時点では乾燥していますので、後で水を含ませたらもっと量が増えるはずです。

そしてケト土を投入。これはマドラースプーン一杯くらい?様子を見ながら追加していったのですが、最終的にはこの4倍くらい入れました。マドラースプーン4〜5杯といったところでしょうか。イメージとしてはお好み焼きに入れる小麦粉のイメージ。あくまでも用土と水苔をまとめる「つなぎ」として使うだけで、必要最小限にとどめたかったのです。出来るだけ空気(酸素)が根に届くようにするためです。

少しずつ水を加えながら、全体を混ぜ合わせて行きました。ケト土だけだとちょっと水を入れるとすぐにシャバシャバになってしまうのですが、今回は水苔がたくさん入っていて余計な水を吸ってくれるので、あんまり神経質にならなくてもいいかも知れません。全体がよくなじんで指先で固められるくらいになったらOKです。これで準備完了!

赤松の石付き盆栽の作り方

石合わせ

ここまで出来たらいよいよ赤松を石に付けていきます。

石を取っ替え引っ替えしながら、石の形と根の形がうまくフィットする組み合わせを探します。綺麗に合うことはまあないので、それなりにはまりそうなものを探します。石と根の隙間がない方が好きなのですが、多少隙間が出来ても根が太ればそれなりに見えるだろう、ということで…

この石を選びました。付ける赤松は一番右、根がしっかりたくさん張っているものにしました。根の形もこの石にうまくフィットしそうだったので。

石にケト土を貼る

まず石の根が通る、あるいは通りそうな位置に先ほど作ったケト土配合土を貼り付けていきます。

こんな風に隙間にケト土配合土を埋め込んで行きます。配合土はそんなに湿っている訳ではないのでポロポロと落ちてしまいますが根気よく。配合用土にもっと水を入れてドロドロにした方がやりやすかったかも知れません。

上、裏側にもまんべんなく。本当は全体に付けてしまってもいいと思うのですが、根が通るルートが分からなくなりそうだったのでこんな感じにしました。基本根が通るルートにケト土配合用土を貼っていくのですが、この先細根が伸びてきそうな位置にも貼り付けておきます。余分なところは将来石を土から出したときにこすり落とせばいいのです。

石に赤松を付ける

ここまで出来たらいよいよ赤松を石に付けていきます。事前のシミュレーションで赤松の位置、根の流れなどはある程度頭に入っているので、それに合わせて赤松を付けていきます。

まず大体の幹の位置、向きを決め、太根を這わせていきます。石の凹みにケト土を持っていますが、そのケト土に埋め込んでいくイメージです。

細い根は何本か束ねてしまいました。

幹の方がグラグラ動いてなかなか位置が決まらないのですが、ここでハタと気付きます。「幹を固定しちゃえばいいんじゃね?」

ということで、ラフィアを使って幹の上の方を石に縛り付けました。完全に固定された訳ではないですが、ほとんど動かなくなりましたのでこれでよしとします。一ヶ所留まっただけでだいぶ作業しやすくなりました。

この根、上に向かって伸びているのですが、下の方に引っ張っています。うまく固定出来るかは分かりませんが、このあたりで留めたいものです。

ある程度根の位置が決まったら、その上にさらにケト土配合用土を乗せていきます。水分が少なすぎたのかポロポロと取れてしまい、結構苦戦しました。

この辺も細根が見えちゃってますが、ケト土を上に追加したところです。もっとケト土を盛っても良かったかも?

貼り付けた根の上にさらに用土を貼り付けたら、しっかり水を吸わせた水苔でおさえます。

この辺も太い根が見えちゃってますが、これでも構いません。この上に水苔を貼り付けます。貼り付けるといってもくっつく訳ではないので、指で押さえる、といった感じです。用土も水苔もポロポロと落ちてしまい、実は相当苦戦しています。

こんな感じになりました。石の下に出ている根の量が思ったより少なかったです。

下から見たらこんな感じ。

ラフィアでぐるぐる巻きにし、赤松の根・用土・水苔を固定します。ラフィアに隙間があるのはわざとです。ここから水や空気が入ってくるようにしたかったのです。下の方は意図せず詰まってしまいあまり隙間がありませんね。

露出している根の量はこれくらい。

全体はこんな感じ。これを石ごと土に埋めてしまいます。

赤松を石ごと土に植え付ける

ある程度深さと土の量が欲しかったので、黒のプラ鉢を使いました。下に少しの盆栽用土とマグアンプを入れておきます。

石を少しずつ回しながら根がとぐろを巻くように少しずつ下ろしていきます。この露出している細い根の間にもしっかり用土を入れたいところです。

一旦石を下の用土の上に置き、ほんの少しだけ浮かせて周りから少しずつ用土を注いでいきます。上の写真だと、根の間にまだ隙間がありますね。この辺、竹串とか針金とかでつつきながら、隙間に用土を流し込んでいきます。

途中ちょいちょいマグアンプを追加しています。

さらに用土を少し足し、針金で突いて根と根の隙間に用土を流し込んでいきます。隙間があると突くごとに用土が沈み込んでいくのが分かります。ある程度隙間が埋まると針金が入らなくなります。この辺はやってみないと感覚がつかめないかも知れません。(なんて言いながら、実はちゃんと用土が入っているのかどうかよく分かっていません)

このくらいまで用土を入れました。土の上にまだだいぶ石が出ていますが、用土はこれくらいにします。これを鉢ごとバケツの水につけて細かく揺すります。揺すったら水から出し、下から漏れてくる水が透明になるまで、水に浸けて揺すって水から上げる、という作業を続けます。水の中で細かく揺することで隙間に用土が流れ込み、また用土がしっかりと締まるのでぐらつきがなくなります。

こんな感じになりました。

このままでもいける気がするのですが、やはり土の上の根が心配です。

本当は手前方向に曲がりを付けたいのですが、まずは根がしっかり落ち着くまで針金は掛けないことにしました。針金を掛けるときは手前に見えている石に針金を掛け、そこを起点に針金掛け・曲がりを付けていこうと思います。

土の上に出ている根を保護したかったので、用土の上に水をしっかり含ませた水苔を押し込みました。石の上まで被せています。

1〜2ヶ月しても枯れる様子がなければ、水苔は少しずつ外していくつもりです。根を露出させた方が太りが早いというのをどこかで読みましたので。とはいえ、急ぎすぎて枯らしてしまっては元も子もないので、焦らないように気を付けます。

これで赤松の石付き盆栽、作業終了です。お疲れさまでした!
ここから2〜3年このまま置いておき、根が太るのを待ちます。いろいろいじりたくなってしまうのですが、長寿梅は余計なことをして枯らしてしまったので、ここはしっかり待ちたいところ。ただ、針金を掛けたり葉刈りに芽切り、土から上の部分の樹形はどんどん作っていくつもりです。

赤松の文人盆栽2例

さて残り2本。まだ若過ぎてこれから樹形を作っていく段階なので、仕立て用の朱泥鉢に植え付けます。黒松と違って、赤松らしい細くたおやかな樹形を目指したいということで、文人にすることにしました。

1本目 根上り風

まずは1本目、ただひょろっとしているだけでは面白くないので、少し根を露出させてみることにしました。

素材はこれ、ザルの一番左に植わってたものです。一番上の根がグイッと持ち上がっているので、これを活かした根上りにしてみようと思い立ちました。

この左側の根を土の上に出し、アクセントにするつもりです。太根・細根を針金でまとめていきます。

こんな感じになりました。針金は1mmの太さのアルミです。

アクセントにしようと思っていた太根ですが、ちょっと上に出過ぎている感じです。これはこれでいいのかも知れないのですが、少しわざとらしすぎる気がします。一度針金を解いて位置を調整しました。

んん〜、あんまり変わっていないかも知れませんね。まあこんなもんでしょう。この根も太ればもう少し見られるようになるでしょう。

下の方はこんな感じ。あまりぐねぐねさせず、自然にまとめて緩く曲がりを付けています。これを全部表面に出すつもりではないのですが、根の露出を多めにも出来るようにこんな感じにしました。

針金の先を鉢底から抜き、苗の固定の足しにします。植え付けの深さと角度を決めていきます。

こんな感じでしょうか。ここから用土を追加していきます。

少し用土を足しては爪楊枝で突き、根の間に用土を入れていきます。地味で面倒ですが大切な作業です。

こんな感じになりました。

細根がかなり露出してしまいました。将来的にはこの辺まで露出させたいのですが、今の時点ではまだ保護してあげないといけないようです。

ということで、こちらもたっぷりの水苔で細根を覆いました。一番上の太根が露出してしまっていますが、なんとかなるのではないかと思っています。

2本目はこれで出来上がりです。この一本はちょっと面白い樹形(文人ですが)にしようと思っていますが、まずはしっかり根付いてくれることが大前提です。

2本目 文人木

最後の一本はザルの真ん中に植わっていた、根が露出してしまっていたやつです。これは一番背が高いものでしたので、よくあるひょろっとした文人に仕立ててみたいと思います。

まずは針金、2mmのアルミ線で根を束ねます。そんなにしっかりぎゅうぎゅうとまとめるのではなく、ふんわりと形作ります。これは今のところ根上りにするつもりはないのですが、根の育ち具合・形によっては根上りにするかも知れません。

下の方の針金は無理に巻かず、まっすぐ伸ばします。

用土とマグアンプを少量入れた鉢に植え付けます。まっすぐ伸ばした針金は鉢底を通して固定に利用します。根はとぐろを巻くようにぐるぐるっと納めました。

うっかりと!本当に迂闊だったのですが!途中下の方に出ていた芽を欠いてしまいました… が、仕方ありません。どんどん作業を進めます。

先と同様に、少しずつ用土を入れては爪楊枝で突いて根と根の隙間に流し込みました。これくらい用土を入れておしまいです。

先ほど鉢底に挿した針金は幹と同じ方向に向かって曲げておきました。多少なりとも固定の足しにはなるかと思います。

たった3本ですが、結構時間がかかってしまいました。これで赤松の植え替えは終了です。お疲れさまでした!

記念写真と今後の管理

今回植え替えをした3本です。

なぜかみんな右を向いていますね。数ヶ月根が付くまではこのまま置いておきますが、落ち着いたら針金を掛けて形を作っていこうと思います。しばらくは涼しい、というより寒い時期が続きますので、午前中しっかり陽が当たる場所に置いておこうと思います。

さっきはうっかり芽を欠いてしまいましたが、他にもちょっとだけ新芽が顔を出してくれているところがありました。こういうのは大事にして枝にしたいな、と思っています。

きちんと根付いて成長してくれるよう祈るばかりです。

三河黒松の石付きにも挑戦しました!

赤松石付きの2ヶ月後の様子はこちら!

赤松 (アカマツ)
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