昨年蒔いたヤマモミジ、ようやくたくさん発芽してくれました。もみじも軸切り挿し芽をするものだ、というのを最近知り、さっそく挑戦することにしました。全部で40本くらい芽が出てきてくれましたので、ちょっと贅沢にたくさんまとめて、将来株立ちになるように仕立ててみます。
発芽した山もみじの現状
最初の発芽が3月中頃、それからたくさん芽が出てきてくれましたが、どんな感じでしょうか?
これが今のもみじの状態です。だいたい40本程度生えてきているはず。
ただ、成長度合いはまちまちです。生えてきたばっかりの子もいますので、全部どうにかするまでにはもうしばらくかかりそうです。
では、実際に軸切り挿し芽をしていきましょう。
もみじの軸切り挿し芽のやり方 〜株立ち編〜
やり方といっても、基本は一般的な軸切り挿し芽となんら変わりません。ただ、今回は何本かまとめて根元を癒着させ、最終的には株立ちに仕立てようという目論見で作業をしていきます。
挿し芽の準備
まずは軸切り挿し芽をする挿し芽の準備です。一本ずつそっと引っこ抜いてもいいのですが、近くの芽も一緒に抜けてきてしまうのが怖かったので、ターゲットになる芽の根元をハサミで切ることにしました。
その前に。小さなカップに水を入れておきます。切った芽が乾かないよう、切り口をこの水に浸しておくのです。
そして使うのはこれ。芽切りばさみです。たまたまあったので使いましたが、この段階では普通のハサミで十分です。ただ、先が細く尖っていた方が作業がしやすいです。
挿し芽の選び方
「挿し芽の本葉が開ききったもの」を挿し芽にするそうです。確かに本葉が出た直後はしおしおに畳まれていて、それがだんだん開いてくる感じですので、感覚で分かると思います。
これなんかはOKだと思います。葉の表面に凹凸がほとんどなく、平たくなっています。
こんなのは当然NG。本葉が出始めたばかりですね。
これなんかもOKですね。
こういうのが微妙なんです。さっきのに比べると表面にまだ凹凸がありますね。100%完全に開ききっているとは言えないような気もしますし、開いているといえば開いている。今回はこういうのは候補から外しましたが、多分これでもいける、あるいはむしろこれくらいの方がいいのかも知れません。
これくらいであれば「まだだな」ってはっきり分かるんですけどね。
挿し芽を切る
ではハサミで切っていきます。
出来るだけ根元の方をスパッと切ります。この段階では断面を気にする必要はありませんが、よく切れるハサミの方がいいのはもちろんのこと。
切ったら切り口を水に浸けておきます。
どんどん切っていきます。実際は「選ぶ→切る→水に浸ける→選ぶ…」という作業を繰り返していきます。先に選んでおいても、どれがどれかすぐ分からなくなっちゃいますから。
出来るだけ根に近いところで切ろうと、軽く引っ張りながら根元を切っていたのですが、この一本はするっと抜けてしまいました。これも白いところと赤くなっているところの間辺りを切りました。
最後はこんな感じになりました。今回は15本まとめて挿し芽をするつもりだったのですが、数えたら16本ありました。
では、次の段階に進みます。
挿し芽をまとめる
株立ちにするために、挿し芽をまとめてくくります。くくるのには木綿糸を使いました。
こんなの。100均のやっすいやつです。これが3つで100円でした。
木綿糸を使う理由は「そのうち腐って切れるから」。これから根が出てきて木が安定し、根も葉も伸ばしながらどんどん太っていく、という過程の中で、根が出て木が安定する、というところまでがんばってくれればいいのです。そのあと木が太り出してお互い癒着していき、株立ちという形になる訳ですが、その頃にはもう腐って切れているか、気の太りに負けて切れるか、そんな感じになるんじゃないかと。これが針金だったりすると気の太りくらいでは切れないため、木が太れずに枯れてしまうか食い込んでそのうち取り込まれてしまいます。
木綿糸を30cmくらい?に切り、一方に輪っかを作っておきます。
これをまとめていきます。軸が長いのを真ん中に、短いのを周りに、と思ってやりましたが、正直そんな余裕はありませんでした。
こんな風に一本ずつ足していきました。その際、出来るだけ葉が触れ合わないよう、重ならないよう注意したのですが、全然うまいこといきませんでした。
こんな感じで、だいたいでいいので切り口の位置を合わせるようにしました。
なんだかもうぐっちゃぐちゃです。出来る範囲で軸を回し、葉が重ならないよう、干渉しないようにがんばってはみましたが。軸が緩やかに曲がっている苗もありましたので、そういうのは外に向くようにしたつもりです。
この時軸はこんな感じ。
切り口はこれくらい揃えました。では、糸でくくっていきます。
さっき作っておいた輪に通します。
一応一番下の(一番短い目の)双葉から1.5cmのところから、下に向かってまとめていきます。これはそんなに厳密なものではないし、実際目測で十分なのですが、あんまり短すぎると苗が安定しないので、最低でも1.5cm、だいたい2cmくらいを目安にしたらいいのかな、と思いました。
なんとなくこのくらいの位置から下に向かって糸をぐるぐる巻いていきます。理由も何もないのですが、5mmくらい巻いたかな?
最後の方にも輪っかを作ってくぐらせ、糸を留めました。
なんでこんなことをしたのかわからないのですが、巻き始めと巻き終わりの糸を捩って…
さらに輪っかを作って縛り、終了。余分な糸は解けないよう少し残して切ってしまいました。
少し時間がかかってしまい断面が乾いていそうだったので、とりあえず水に浸け…
こちらを準備。これも百均で売っているカミソリです。新品を使いました。
これで糸の下の部分をスパッと切ります。向こうから手前に(または逆に)刃を引きながら、一気に切ります。下の木の台に刃が刺さるくらいでもいいです。上から押し付けるように切るのではなく、刃を動かしながら「スパッ」と切るのが大事です。押し付けるようにしても切れるのですが、断面が潰れてしまうと発根しずらくなるようです。
きれいに切れました。
切った残骸も記念に。
さてここで、先ほどの水に発根促進剤(ルートン)を入れ、指でよくかき混ぜます。かなりダマになるので、ダマを指先で押しつぶしながら溶かします。
このルートン溶液に、切り口を浸して1時間ほどおきました。これで苗にしっかり吸水させます。ルートンを混ぜる必要は必ずしもありませんが、半分おまじないのつもりです。
1時間くらいおいたら、いよいよ鉢に植えつけます。
鉢の準備と植え付け
鉢はこれを使いました。小さな素焼き鉢にしようと思ったのですが、素焼き鉢はどうも土の乾きが早いような気がしているのです。あまり大きな鉢にして根がたくさん出てしまっても間延びしてしまうので、小さめの鉢にしました。鉢が小さいと水切れの可能性が高くなるのですが、出来るだけ頻繁に水やりをするようにします。
そして用土はこちら。今回はさらに粒の小さい、鹿沼土「微粒」を使います。多分いつもの盆栽用配合用土でも問題ないと思います。
この鹿沼土「微粒」、単価が安くていいのですが、送料が高すぎますね。何か買う時についでに買っとくといいかもしれません。また、この鹿沼土の袋、ジップロックみたいになっているので、保管の際も重宝します。
鹿沼土を1/4ほど入れ、そこにマグアンプをひとつまみ。そして指で軽く混ぜます。
さらに鹿沼土を足しました。これくらい。これをバケツの水に縁まで入れ、ゆっくり揺らして微塵を落としました。
なんだかきれいになりました。
太い竹串のお尻の方を使って、中心に1cm程度の深さの穴を開けます。ちなみにこの竹串、コンビニのフランクフルトのやつです。
先ほどの苗を水から上げたら…
ルートンをたっぷり付け…
指で軽く触ります。すると、断面の水分と混ざってペースト状になります。本来はペースト状にしたものを塗りつけるのが正しい使い方のようです。
これを先ほどの穴に差し込みます。先端でグリグリすることがないように気を付けます。
指や竹串を使って軽く土を抑え、苗が動かないようにします。実際は葉が茂りすぎていて、非常にやりづらいです。あまり強く抑える必要はありません。
この状態でバケツの水に鉢のふちギリギリまで浸し、細かく揺すります。こうすることで用土の粒が隙間に入り込み、穴が締まって苗が固定されます。
きちんと固定されたようです。軸切り挿し芽は根が出るまでは決して芽を動かさないことが肝要ですので、ここは丁寧にやりたいところ。
軸が短くて葉が鉢にくっついてしまいました。乾けば自然に剥がれるとは思いますが。
針金の先っぽで剥がしてみました。
もっさもさです。これでは下の方の葉にはまったく陽が当たりませんね。
少し軸が交差してしまっていますが、今の段階では触らない方がいいですね。根がついてから針金などで修正出来ればいいのですが。
この軸一本一本が太って、そのうち癒着して一本の木になるのですね。もの凄くワクワクします♪
一旦これ終了です。お疲れさまでした!かなり葉が詰まってしまっているのでちょっと何か考えたいところですが、難しいですかね。
写真では大きく見えますが、実際はこれくらいの大きさ、手のひら盆栽です。
今後の管理
今後しばらくの間はそれほど陽が当たらない明るい場所に置いておきます。水は基本腰水。バケツの水に鉢の縁ひたひたに浸けて給水します。ただ、しばらくの間は根がまったくない状態なので、霧吹きで葉っぱに水をかけてそっちからも水を吸わせるようにします。
きちんと根が出れば程なくしてさらに本葉が生えてくると思いますが、どれくらいかかるでしょうか?2週間?1ヶ月?16本全部が発根してくれればありがたいのですが、一本でも多く、枯れずに育ってくれるようがんばってお世話します。
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