一昨年実生で育て始めた三河黒松のうち、軸切り挿し芽をしなかったものがカップラーメンのカップに植えたままにしてありました。針金掛けはしたのですが、その後灌水のみでほったらかし。根も動き始めたかなということで、赤松同様ザルに植え替えることにしました。いい感じのものは一部鉢上げしてみようかと思います。ただ、時期的にはちょっと早いかもしれません。
三河黒松、作業前の状態
今回植え替えをする黒松はこんな感じです。
ぼさぼさです。葉も減らしていないので、陽当たりもあんまり良くないかも。真弓が一本紛れ込んでいますね。
成長度合いはそれぞれですが、先端の芽が膨らんできています。
前準備
では早速鉢上げをしていきます。
鉢から取り出す
大してやることもありませんが、まず鉢から取り出します。出来るだけ根を傷めないようにするため、カップを破ります。
こんな風に端からバリバリと。たまたま八角形のカップだったので、一面ずつ破り取っていきました。ハサミかカッターを使ったほうが早かったかもしれません。
一旦ここまで出来ました。根張りはすごいですが、サルスベリや真弓のようなぶっとい根ではないですね。
最後に底の面を外して終わり。根の一部がそこに開けた穴から飛び出していました。これもできるだけ切らないように引き抜きますが、そんなに神経質になる必要はありません。ちょっとくらい切れちゃっても大丈夫です。
黒松を一本ずつにバラす
土を落としながら、黒松を一本ずつバラしていきます。根が絡みついていると思われるので丁寧に土を落としながら慎重に作業します。
まずは真弓が外れました。これは最後にどうにかすればいいとバケツの水に放り込んでおきます。
1本取れました。土を丁寧に落とした後バケツの水でさっと洗うと、残っている土も綺麗に落ちます。細根の先端が白くなってきています。もう根が動き出していますね。
これはまだ針金が掛かっています。どうも外し忘れたようです。
外しておきました。結構しっかり曲がりが付いています。思ったほど食い込んでいないのが太っていないんじゃないかと逆に心配ですが…
どんどん外していきます。
根が乾かないように、小さなカップに水を張ってそこに放り込んでおきました。これで全部かな?
さて、次はいいやつを選んで鉢上げします。
三河黒松の鉢上げ
三河黒松の確認
では、一本ずつどんな感じか見てみましょう。
これなんかいい感じ?
これも結構しっかり曲がりが付いています。
これも悪くないかな?
何れにしても、土の下にあった部分はまっすぐです。針金を上の方だけにかけた、というのもありますが…。このままではイマイチ使い物になりそうもありません。
これなんかもいい感じではあるものの、腰高すぎてどうしようもないです。これはやっぱり太い直根にも針金を掛けないといけないみたいですね。ただ、どうも硬くて脆い=ちょっと曲げたらすぐ折れちゃうんじゃないかと思うと怖いです。
三河黒松に針金掛け
このままでは使い物にならないので、針金を掛けることにしました。まず一本試してみて、折れちゃうようだったらまた考えます。
とりあえず何本か、いい曲がりの付いているやつを選んでみました。
まずはこの子。折れちゃっても仕方ないと、練習台になってもらいました。
いつものように巻いていきます。
おっ?おおっ?
折れたり裂けたりすることもなく、けっこう曲がってくれました。調子に乗ってどんどん行きましょう。
次はこれ。前々から曲がりの角度がイマイチ気に入らなかったので、ついでに直しちゃいます。
あんまり変わりませんでした。でも指で押さえているあたりはしっかり曲げています。これくらい曲げても大丈夫みたいです。
この芽を欠いてしまわないように細心の注意を払いました。将来ここから枝が出てきてくれるはずなのです。
お次はこれ。けっこうお気に入りなのです。
ここの曲がりがカクカクしていて、なかなかいい感じじゃないですか?この下はもうただただ真っ直ぐで、箸にも棒にもかからないのですけれど…
かなり思い切って曲げてみたつもりです。上はカクカクしていますが下は曲線になっちゃいましたね。カクカクっと曲げる勇気がなかったのですが、これはこれでいいんじゃないかな?歳が乗って木肌が割れてゴツゴツしてくれば、それなりに見れるようにはなるんじゃないかと。何年かかるかわかりませんけどね。
うん、まあ悪くないんじゃないかな?
こちら、ちょっと曲がり、というか揺すり?が付いているものの、あんまりしっかり付いていない。形自体は悪くないということで、もう少し曲がりをつけます。
んーどうかなー?
別角度から。下の方に曲がりが付いていませんね。なんでこうしたんだろ?
さて、針金掛けはこれくらいにします。針金を掛けたものは鉢植え、掛けていないものはザルに植え替えて、さらに成長させます。
三河黒松の鉢上げ
では鉢に植えていきます。
まずはこれ。遊恵盆栽さんで苔盆栽のキットを買った時に入手した益子焼の鉢です。これにぴったりの受け皿もセットです。残念ながらもう販売終了のようですが、この益子焼の鉢シリーズ、ぜひ続けて欲しいものです。
大きさはこれくらい。比較的大きめです。中に入っている白いネットはきっと購入時の付属品ですが、これは使わないでいつも通りの鉢底ネットを針金で固定して使います。
こんな感じ。鉢底の穴も大きめなのでしっかり取り付けできました。
ここに植えるのはこの子、オキニのやつです。こんな感じでいいかな?
いつも通り配合用土を使います。本当はこれにマグアンプを混ぜるのですが、入れ忘れてしまいました。まあ大丈夫でしょう。
針金を長めに残しておきました。これを鉢底ネットの穴に通して、位置決めします。決まったらこの針金をちょっと折っておきました。多少は幹の固定の補助になるかも、と思ってのことです。結局なりませんでしたが…
指で苗を押さえながら用土を少し入れ、竹串や針金の先でつついて根の間に用土を入れていきます。用土を少し入れたら竹串でつつく、これを丁寧に根気よく繰り返します。
これくらいかな?
ひげ根がちょっと出てしまっていますが…あんまり無理してもっと飛び出してしまっても困るので、これくらいにしておきます。
たっぷり水をやって終了です。カクカクした曲がりの上の方、針金を掛けた後に伸びた去年の分ですが、これは根が伸びて木が太り始め、針金が食い込む少し前に今の針金を外し、その後改めて針金を掛けて形を作ってやろうと思っています。もともとは切り落としてしまおうと思っていた部分なので、もしかしたら落としてしまうかもしれません。
この鉢だけ苔を貼ろうと思い、表面にピートモスを敷いておきました。
次はこれ。
鉢を選びます。
こいつを使ってみましょうか。
ひとつめと同様に、用土を入れては突き、根の間にしっかりと用土を入れていきます。
こんな感じになりました。これも上の方をどうするか考え中です。針金を掛けた方がいいのか、切り落として枝が出てくるのに賭けてみるか。まずはこのまま落ち着いてくれるのを待ちましょう。
次の一本は針金で軽く根をまとめます。本当に軽く、です。
こんな感じにして…
懸崖鉢に植え付けていきます。根と根の間にしっかり用土を入れるようにするのはこれも変わらないのですが、根をまとめたせいでかなり難しいです。出来る限り、ということで。
黒松が浮いてこないように軽く指で押さえながら、針金の先で用土を入れていきます。ただ突くだけでなく、針金を用土に深く突き刺した後ぐるぐると螺旋を描くように回し、根と根の隙間に用土を入れるようにしてみました。
こんな感じの半懸崖に出来ました。が…
ひげ根が表面に出てしまっていますね。こんな感じで育ってくれると根上り半懸崖でかっこいいのですが、まだ根が細いのでこのままでは枯れてしまいそうです。
ということで、しっかり水を含ませた水苔でカバーしておきました。太い根が数本あるので、ひげ根は枯れちゃっても大丈夫な気がします。
最後はこの一本です。
この辺の曲がりが細かくて、なかなか悪くありません。
作業中の写真を撮り忘れたのでいきなり完成形です。一番下の部分は真っ直ぐですが、それほど不自然ではないかも?上の方、針金が掛かっていないところは切り落とそうと思っていたのですが、思い切り下げてみるのもいいかもしれませんね。
鉢上げはこれで終了です。では残った苗をザルに植え付けます。
三河黒松のザル栽培、ザルへの植え付け
残った苗はザルに植えつけます。
まずはザル半分弱の用土を入れ、バケツの水に浸して上下します。下から出てくる水が透明になったら微塵が綺麗に落ちたということ。その後手でザルの表面に用土を広げていきます。
ここに黒松を置いていくのですが、出来るだけ根が広く広がるように竹串などで位置を調整します。
松を全部並べたところ。この根の下にも用土を入れないといけないのですが、まず無理でしょうかね。でも出来るだけ根の間に用土が入るようがんばります。
少し用土を入れては竹串の先でつついて根の隙間に用土を入れていきます。
ザルの外側から内側に向かって苗を持ち上げ、ザルと苗の間にできた隙間にも用土を入れていきます。
最後に中心に用土を入れ、突いて奥に入れていきました。
どうしても細根が表面に出てきちゃいますね。ここはほんの少しだけ用土をかけてみましたが、ある程度は仕方ないということで諦めました。
よさげなやつはみんな鉢上げしてしまったので、このザルに植え替えた黒松たちはこのまま1年くらいほっておこうかと思います。これからの成長度合いによっては植え替えるかもしれませんし、このままさらに一年ほっておくかもしれません。何れにしても、根が落ち着いたな、と思えたら一部は摘芯して側枝が出てくるよう促してみたいと思っています。
ギャラリー
最後に記念撮影です。
今日の成果。白いミニ懸崖鉢に植えたやつをすっかり忘れていますね…
これは先が楽しみなオキニの子です。上の方の葉が短いので、小葉性なのかも知れません。将来が期待できます。
こちらも楽しみなやつです。上の方を切り落とすか、針金で思い切り下げて懸崖にするかはまだ決めていません。根本は細根が表面に出ていたので水苔でカバーしています。
こちらも歳が乗ってくればいい感じになるかも知れませんね。
根元に細根がちょっとだけ出てしまっていました。これも後で水苔で覆っておきましょう。
そして黒松のザル栽培です。早いこと落ち着いてくれればいいんですが、どうなんでしょうかね?
細根をカバーしようと用土をどんどん足していったら結構ギリギリまできちゃいました。このまま枯れずに落ち着いてくれればいいんですが。
最後はこちら。あんまり大したことないと思っていたのですが、なかなかどうして悪くない気がしてきました。針金から先、上の方は、下の針金を外すタイミングで針金を掛けて右下の方に思い切り下げてみようかと思っています。懸崖まで持っていくにはちょっと長さが足りないでしょうか。半懸崖か吹き流しのような感じでもいいかも知れません。これは楽しみなひと鉢です。
こんな風に細かく曲がりが付いているのもいいものですねぇ。今後使っていきたい樹形かもしれません。
長いこと気になっていた黒松ですが、一旦これで落ち着きました。これから春〜初夏とどんな風に成長してくれるか楽しみではありますが、夏場をどう凌ぐか、これもまた課題です。
おまけ
一緒に植わっていた真弓に針金を掛けて鉢上げしました。
このびょーんと長いのを…
針金で小さく丸めていきました。ちょっと幹が裂けちゃったり…
思いっきり裂けちゃったりと、散々でした。黒松が終わって油断していたのかも知れませんが、雑にやるとやっぱりダメですね。
小さな素焼き鉢に植えておきました。さすがに裂けてしまったところの芽は枯れちゃうでしょうけれど、本体はがんばって欲しいです。
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