【大失敗】三河黒松の取り木に挑戦しました

取り木を掛けた三河黒松 黒松 (クロマツ)
当ページの一部リンクには広告が含まれています。
Facebookはじめました!

以前から気になっていた三河黒松があります。来年には落としてしまう捨て枝部分なのですが、いい感じに枝が出てきてくれていて、切って捨ててしまうのがなんとももったいない。難しいとは知りながら、失敗してもどうせ切ってしまうんだしということで、黒松の取り木に挑戦です。

取り木をする三河黒松

今回取り木をしたい三河黒松はこちら。

この三河黒松です。ローソク芽もだいぶ伸びてきました。

これ、この根上りのやつ。根上り部分は一番のお気に入りであります。

実際に使うのはこの辺までで、上の方は切ってしまう予定です。今は幹を太らせて根を充実させるということで、今年はこのままほったらかしにするつもりでいました。

取り木をするのはこの部分。

分かりずらいですが、ローソク芽の根元に枝が3本出て来ています。出来るだけキワキワで取り木をすれば、三幹の黒松が出来るのではないかと妄想してしまったのがきっかけ。ローソク芽は腰高になりすぎてしまうので、根元で切ってしまうつもりです。妄想だけならなんでもアリです!

反対側から見るとこんな感じ。この枝が主になります。

では!意を決してやっていきましょう。

下準備

いろいろと脳内趣味レーションをして、出来ることは事前に準備します。

まずは針金。ながーく取って二つ折りにし、ネジネジに巻いておきます。長さは黒松の頭と同じくらい。これは、後でビニール袋を付けて水苔を入れるとかなり重くなるので、枝が曲がってしまわないようにするためのもの。使い方は後ほど。

二つ折りにしたところにラジオペンチを差し込み、固定してぐるぐるとねじっていきました。

これはいつものルートンペースト。張り切って作り過ぎてしまいました。こんなにいらない…

水苔を付けるあたりの葉は全部根元から切っちゃいました。抜くと松ヤニでベタベタになるので、根元の方を芽摘みバサミで切っています。もちろん抜くのでも構わないと思います。上の方、ローソク芽の付け根あたりの葉は残してあります。全部切っちゃってもいいと思うのですが、残しておいたらさらに枝が出てくるかも?という助平心で残しています。実際生えて来たらそれはそれでどうするか悩んじゃうんですけど。

次は種子や苔を採取するのに使っている百均のジップロック。中古品です。これの上と下をハサミで切り落とし、筒状にしました。後で水苔を入れる容器?になります。

上下を切って筒状にしてあるので、こんな感じになります。ちょっと大き過ぎかも?後でいくらでも調整出来ますので、そんなに気にしなくていいです。ただ、気持ち大きめの方が修正が効くのでいいと思います。小さくし過ぎても切って調整、という訳にはいきませんので。

下準備はこんなものかな?手元には針金やらハサミ、水苔など置いておきます。ここまで出来たらいよいよ作業に入ります。

三河黒松の取り木のやり方

では作業を進めます。と言ってもやり方は普通の取り木と全く同じ。

指のところ、分かりますでしょうか。カッターを使ってぐるっと切れ目を入れました。刃を当ててグッと押すと、表皮〜形成層が切れる感触がして、木部に当たって止まるはずです。木部は出来るだけ傷つけないように形成層まで切れ目を入れます。この切れ目の位置から根が出てくるはず!なので、位置は十分吟味します。なんとなくですが、今回は左上に見える葉から1cmくらいのところに切れ目を入れました。

さらにそこから下1cmくらいの位置に、同様にぐるりと一周、切れ込みを入れます。切り方は上と同じ、木部を残して表皮と形成層だけを切ります。

ここまで出来たら上と下の切れ目を結ぶように、今度は縦に切れ目を入れます。深さは同じく形成層まで。

木部を残して形成層だけを切る、というのは難しいように感じますが、形成層は柔らかく、木部はかなり硬いので、無理に力を入れたりせずそーっと切っていけば刃が木部に当たった時点で止まるはず。こればかりは実際やってみて感触を掴むしかないです。横向きに切れ目を入れる時は刃を「押し付ける」ような感じで何回にも分けて切っていきました。縦のラインも同じように、すーっと刃を引くというよりは押し付けて「プチっ」と形成層が切れる感じがしたら刃を少しずらし、また押し付ける、みたいな動きをしていきました。

これ、細い軸にカッターを使います。指先や手を切らないように十分ご注意ください。

次はいよいよ表皮と形成層を剥がします。縦に入れた切れ込みにカッターの刃を差し込み、中央の木部を残して形成層を剥いでいきます。

こんな風に、綺麗に剥がれていくはず。ただ、この取り木部分は昨年成長したもの。形成層は一枚しかないのです。なので綺麗に剥がれますが、何年も経った木だとこんなに簡単には剥がれないかも?

こんな風に。予想以上に綺麗に簡単に外れてしまいました。真ん中に残っている細いのが木部なのですが、まだ緑色が残っていますね。普通はここからさらに木部を削って形成層を完全に落とすのですが、これだけ綺麗に剥がれていたらその必要はなさそうです。

上側の形成層ですが、ここにもう一度刃を当ててきれいになるように少しだけ削りました。ここがジャギジャギになっていたりすると発根しずらくなると思うので、カッターでスパッと!きれいに切っておきます。改めて写真を見ると下手くそですね…もっとこう、一直線にスパッと!が理想です。

作業中はちょいちょい霧吹きで水をかけていました。木部、形成層の断面とも乾燥させたくなかったので。これは必要なのかどうかは分かりません。

そこに先ほどのビニール袋を被せます。

位置を決めて絞ります。本当はもっときれいに、左右を折りたたんで…みたいなシミュレーションをしていたのですが、現実はそんなに甘くない。ビニールがツルツル滑って位置が定まりません。最後はえいやっと絞ってしまいました。かなり適当に。

このくらいの位置で針金を巻いて留めます。針金はきつく巻いて、ここから水漏れしないようにします。

これくらい巻きました。これなら水漏れしないだろう!(後で分かりましたが、水漏れしました…) 多少ボタボタと垂れてくるのは問題ないです。

内側から指で形を整え、出来るだけきれいなコップ状に形を作っていきます。目的はよりたくさんの水苔を入れるため。

この辺で諦めました。下の方はどうしてもシワが寄ってしまってきれいにならなかったです。木部むき出しなので、ちょっと焦ってます。

ここでさっき捩っておいた針金を用土に突き刺しました。出来るだけ深く、底まで挿します。

木綿糸を使って、こんな風に幹を支えました。木綿糸は2回折って4本で支えています。これから水を含ませた水苔を先ほどのビニールの中に入れていくのですが、かなり重くなって幹に負担が掛かるので、こうやって反対側から引っ張れば大丈夫かな、と思ってのことです。

水苔を入れる前にルートンです。上側の残っている形成層の断面にたっぷりとルートン水溶液を塗りつけます。ここでは指を使いました。基本断面から根が出てくるはずなのですが、その上の方にも塗っています。もしかしたら軸からも発根してくれるかも知れませんので。まあ、ダメ元というかおまじない程度です。

次に水苔です。水苔を手に握ってバケツの水に浸け、ギュッと握って緩めると水を吸ってくれます。数回これを繰り返してしっかり水を含ませたらこれくらい、親指の爪くらいの大きさにちぎってビニールのコップの中に入れていきます。

こんな感じ。もう少したくさん入ったら、太い竹串のお尻でギュウギュウと圧縮し、出来るだけたくさん押し込みます。

これくらい入れて…

竹串で突いて圧縮します。

ポロポロと新芽が取れてしまいますが、まあいいや。大丈夫でしょう。多分。

っと!ここでやらかしてしまいました。重さで幹がたわんだり曲がったりしないように木綿糸を張った訳ですが、水を含んだ水苔の重さに鉢を含めた全体のバランスが崩れ、鉢ごと倒れてしまいました。そうか、いくら反対側から引っ張ったって、それをしっかり支えるだけの重さが鉢になければ全部倒れてしまいますよね。実際倒れたらすぐに分かるのですが、思いも付きませんでした。

幸い台から下に鉢が落ちることはなく、倒れて用土がたくさん溢れた、程度で済んだのですが、この時点でかなりパニクっています。黒松本体も水苔の重さで左右にぐらんぐらんと揺れていて、かなり根を傷めたのではないかと思います。このまま用土を戻すなり足すなりしても、また倒れてしまうのは分かりきっていますので、なんとかしないといけません。

松が倒れないようにメネデール水溶液を入れてある1.8Lのペットボトルに立てかけ、急いで準備。大きなプラ鉢に鉢底石を放り込みます。上のスリットあたりまで。これをバケツの水に入れてじゃぶじゃぶ洗いました。

ここに直接さっきの三河黒松の鉢を乗せます。木がグラつくのでビニール紐で結んでいますが、効果あるのかないのか… グラつくというのは「捻れる」感じで左右に首を振ってしまうんです。まあ、取り敢えずないよりまし、程度でしょうか。今思い返すとパニクり具合がよく分かります。

焦っていて写真がほとんど残っていませんが、朱泥鉢とプラ鉢の隙間に盆栽用土を流し込み、ある程度均したらバケツの水に浸けて微塵を洗い流しつつ締めました。一番の目的は水をたっぷり含ませて重くする、ということでしたが。

まだ松がグラグラするので、プラ鉢のスリットを利用してこんな風に針金で支えました。

先の方も不安定で不安だったので、針金で支えています。この2本でどれくらい効果があったのか分かりませんが、少なくとも大きくぐらつくことはなくなったのでこれでまずは応急処置終了です。

さらに水苔を詰め、そこそこ溜まったら上の余ったビニールをこんな風に折り込んで…

セロテープで止めてしまいました。出来るだけ外気に触れる部分を減らし、乾燥を防ぐことが狙いです。

反対側も同様に。出来るだけ露出する水苔が少なくなるよう、幹ギリギリのところで織り込むようにしました。

幹の周りにはまだ隙間がありますが、今後ここから給水することになるので、開けておいてOKです。

こんな風に。霧吹きでじゃんじゃん水を流し込みます。

ビニールの端っこの方にはこれくらい水が溜まりますが、これでOKというかこれくらいたっぷり水を含ませました。

なんだか根っこっぽい白いのが見えますが、当然違います。あとでぬか喜びしないように写真を上げておきます。でも根が生えてきたらこんな感じになるんだろうかな?

上から見るとこんな感じ。空気に直接触れている水苔はかなり少なく出来たと思います。

そうそう、倒れてしまった鉢には用土を多めに足しておきました。元々はもっと根上り風味だったのですが、それは一旦おあずけ。まずは枯れずにしっかり根を張ってくれることを優先しました。

これで一旦作業は終了です。お疲れさまでした! …っていうか、疲れたよ本当に…

今後の管理と反省など

今後は根元の方には通常通りジョウロなり腰水なりで灌水、取り木したところにも霧吹きで水をやり、水苔が常にたっぷりと水を含んだ状態にしておきます。今回ひっくり返したりグラグラとさせてしまって根をかなり傷めてしまったので、肥料は無しです。

いろいろ脳内シミュレーションしてみたつもりだったのですが、全然出来ていませんでした。鉢が倒れてしまえば当たり前のようなことなのですが、頭が重すぎてバランスを崩すとは… 分かっていたら先に手を打っていたんですけどね。鉢が倒れて用土がたくさん飛び出した時に一瞬「鉢から出して植え替えちゃおうか??」と思ったのですが、それはしなくて多分正解だったんじゃないかな、と思います。

取り木部分が発根してくれるか以前に、本体が無事でいてくれるか、枯れてしまわないかの方が心配ですが、ここまで来ちゃったのでいろいろ諦めて粛々とお世話をします。

今回取り木を掛けたのは昨年生えてきたローソク芽が伸びたもの。ネットで「黒松の取り木」を検索してもほとんど例が出てこず、出てきた先輩方の成功例ももっともっと太い、歳を経た黒松のぶっとい幹に取り木を掛けたものばかり。こんな1年目の細い細い軸に取り木を掛ける人なんか一人もいませんでした。ブログとかやってないだけかも知れないけど。まあ樹勢はいい感じだし、成長途中の生きの良い部分なので、うっかり発根してくれないかなぁ、と思っているのです。他の人の例を見ると、10月くらいには切り離し出来るくらいまで根が張ってくれるはずなのですが、そもそもこんな若木で発根してくれるのかどうか。以前やった長寿梅は1ヶ月ちょっとで発根が確認出来たので、まずは6月末ぐらいまではがんばってみましょうか。

黒松 (クロマツ)
シェアお願いします♪
フォローお願いします♪
いいね!お願いします♪

コメント