長寿梅の取り木を切り離しました!

長寿梅の取り木の切り離し 長寿梅 (チョウジュバイ)
当ページの一部リンクには広告が含まれています。
Facebookはじめました!

4月初めに長寿梅に取り木を仕掛け、5月半ばに発根が確認出来た長寿梅。八方根になるように根が出ていないところから根が出てくるのを待っていたのですが、梅雨も近くなり根腐れが怖くなって来たので、切り離すことにしました。さて、根はどうなっているでしょうか?

発根確認後2週間の長寿梅の様子

まずは現状を確認してみます。

左の方、葉刈りしたところはなかなか葉が出て来てくれませんが、全体としては十分樹勢が乗っていると思います。

取り木の前に、まずはひこばえの確認です。順調に伸びてくれてます。葉も大きいし調子がいいんだろうと思いますが、位置的に今回の作業の邪魔になるかも知れません。これはこのまま伸ばして適当に切り、ハサミだけで作っていくか、それとも針金を掛けて形を作るか。どうするべきか迷います。

根の状態を確認してみます。前回より確実に増えていますね。

拡大したところ。根が増えすぎて下の方で渋滞しています。

ちょっと違う角度から。下の方はもう根だけになっています。

左側、根が欲しい位置には結局生えて来てくれませんでした。片根になるのを覚悟していましたが、仕方ありません。

水苔を取り除く

では早速切り離しの作業に移ります。まずはビニールを外し、中に入っている水苔を取り除きます。水苔は取り除かずそのまま植えてしまう、というのもどなたかのブログで見たのですが、また別の人は水苔は腐って根を傷めるので取る、という方もいて。どちらが正解か分からなかったのですが、取ってしまうことにしました。リスクとしてはせっかく生えて来てくれた根が一緒に取れてしまうこと。いっぱい生えて来ているので多少根が切れたり取れたりしても大丈夫だろう、と思いました。

ビニールの取り外し

まずはビニールを外すのですが、その前にビニールを止めている針金を外します。

この針金を外します。1mmの細い針金ですし、意図した訳ではないですが切り口のところが飛び出しているのでそんなに難しくはなさそうです。

指とラジオペンチを使って緩めて行きました。

無事外すことが出来ましたよ!

針金を外した後。根がしっかりしているのが分かります。続いてビニールを外して行きます。

根を傷めたり切ってしまわないようにビニールを引っ張りながら、ハサミで切っていきます。

ある程度切れたら…

両手で左右に引っ張って裂け目を広げていきました。片手なのは右手でカメラを持っていたから。本当は左右に引っ張りました。

この辺まで開けたら、さらにハサミを使います。

ハサミの先を差し込んだら手前に引っ張るようにして根とビニールの間に隙間をつくり、さらにビニールを切り裂いていきます。根を傷付けないように細心の注意を払いました。

一番下まで切れました!ゆっくりそーっと、ビニールを取り外しました。

ビニールが取れました。次に水苔を取っていきます。

水苔を外す

まずはゆっくり観察します。根がしっかり回って水苔を包み込むようになっています。これは思ったより大変かも?

上の方には根がないだろうから、上の方から行けるところまで指で水苔を取っていくことにしました。

っと!こんな位置にも根が生えているのが見えました。環状剥皮した位置よりも明らかに上の方です。これはちょっと予想外。中がどうなっているか分からなくなってしまいましたので、ここから百均のピンセットを使って少しずつ苔を外していくことにしました。

一気にガバッと外れそうなものですが、一緒に根が取れてしまっても困りますので、根がないのを確認しながら少しずつ水苔を外していきます。

なんとまあ、こんな上から発根しています。嬉しいっちゃあ嬉しいんですが、これ、どうしよう…?

考えていても仕方ないので、一旦水苔を全部取り外すことにしました。どうするかは根の全貌が見えてから決めることにします。

ちまちまちまちま…横着せず少しずつ丁寧に水苔を外していきます。

少しずつ他の根も見えて来ました。

ようやく環状剥皮をしたところが見えて来ました。ちょうど真ん中あたりに見える白くて丸いつぶつぶ、これ、カルスですよね?ここは発根していない位置ですが、カルスが出来ていたのですね。ここから発根するはずなので、切り離して土に植えておいたらそのうちここから発根してくれるのではないでしょうか。

分かりやすいように明るくして撮ってみました。カルスは出来ているものの、発根はしていないようです。

根が乾いてしまうとまずいので、途中で霧吹きで水を吹きかけながらの作業です。

カルスがはっきり見えて来ました。

根と根の間にピンセットを突っ込んで、水苔を引っ張り出しています。根を一緒に掴んでしまわないように気を付けます。

たまにこうやって根も一緒に取れてしまいますが、ある程度は仕方ないと諦めます。

上の方の水苔が大分少なくなってきました。

発根している場所を見てみます。カルスが出来ていないところからもしっかり発根しているのが分かります。

こちら側の水苔は大分取れました。一番下、根が溜まっていたところが意外にしっかり絡んでいて簡単には解れそうもありません。

水苔が大体取れてきたところで、根を解していきます。根と根の間に閉じたピンセットを入れ、一本ずつゆっくり解していきました。

これ、さっきの上の方から生えてきていた根ですね。

別の角度から。この根の下で切り離せば、もう一本小さい素材が作れそうです。

ここ!一番下のこの部分の根が完全に絡み合っています。このまま植えちゃってもそれはそれで面白い素材になるのかな、と思いつつ、やはり解すことにしました。

先ほどやったように、ピンセットの先を使って一本ずつ分けていきます。まだ癒着している訳ではないので、丁寧にやれば解すことは出来ます。

かなり解れてきました。

これくらいまで解れました。先端部分をもう少し解したかったのですが、根に負担を掛けるのも嫌だったのでこれくらいにしておきました。

このカルスの左側から出ている少し茶色い根、太根といえそうな太根はこれ一本、あとはみんな細くて柔らかいです。白い細い根もそのうちこんな風に硬くなってくると思います。

水苔はほぼほぼ取れました。いよいよクライマックスの切り離しに移ります。

長寿梅の取り木の切り離し

切り落とし位置の確認と根の状態の記録

いよいよ切り離すのですが、その前に切り離し位置の確認です。ついでにいろいろ観察して写真を撮っておきました。切り離して土に植えてしまったら発根の状態が分からなくなってしまいますので。

切り離す場所はこの辺。木が濡れているのは途中で霧吹きで水をかけているからです。真ん中辺に以前取り木に失敗した傷跡が見えますが、ここで切り離します。この傷の下、右側に白いポチッとしたものが見えますが、これが何かは分かりませんでした。もしかしてこれもカルスが出来始めていて、ここから発根しようとしていたのかも知れません。ここから発根されても困るので、これはこれ以上何もしません。

根が生えているあたりはこんな感じ。環状剥皮したところから直接細根が生えてきています。問題は上の方、右側。枝より上から根が生えてくるという、なんとも奇妙な状態になってしまいました。

こんな感じで、右に向かって生えている枝の上から根が生えてきてしまっています。これは切ってしまうべきだと思うのですが、この根の量も少なくないため、一旦このまま残すことにしました。切り落とすのはいつでも出来ますので。まずはしっかり根がついてくれることが最優先なので、根は多い程いいはずです。あとあと根上にした時に、予想出来ない面白い形になるかも知れませんしね。

こちらがさっきも出てきた唯一の太根です。結構硬い根です。将来この辺からひこばえが出てきてくれたら、それも切り離して素材として使えるでしょう。

なかなか切り離す勇気が出ません。で、写真ばっかり撮っていました。

長寿梅の取り木、素材の切り離し

キリがないので意を決して切り離します。

切り離し位置はこの辺。以前失敗して傷になったあたり。ここで切り離します。

発根位置から少し長めに幹を残して切ります。

動揺してボケボケですが、切り離しました。

カルスの上側、幹に白いポツポツがあるのが分かりますでしょうか。ここ、多分発根点なんじゃないかと思います。用土に植え付けたあと、この辺からも発根してくれる可能性があるような気がします。こちら側には発根がありませんので、根が出てくれたらありがたいのですが。

取り木素材の準備と植え付け

素材は無事切り離せましたので、早速植え付けといきたいところなんですが、その前に素材の形を整えたり、植え付ける前にやっておいた方がいいことをやってしまいます。

切り離した素材の準備

まずは切り離した長寿梅の上側を短くしないと全体のバランスが取れません。ということで、鉢に植えた状態でそこそこかっこよくなるよう、幹や枝をちょうど良い位置で切ります。

さて。上側はどこまで残したらいいでしょう?このままでは縦にまっすぐ長すぎてどうしようもないので、どこかで切ってそれなりの素材にしなければなりません。

と、その前に。ここ、枝を落とした跡だと思うんですが、枯れ枝が残っています。まずこれを落とします。

切り落としました。まだ枝を抜いた感がすごいので、カッターで形を整えて自然な感じにしてみます。

イマイチうまいこといきませんでした。あまり時間をかけたくなかったので、ここは一旦このままほっておくことにしました。

ん?あれ??このあたりで気づいたのですが、右側に伸びている枝の付け根に出ていた根っこがなくなっています!いろいろぐるぐると観察しているうちに取れてしまったんでしょうか…この枝だけでひとつ素材が取れると思っていたので、かなり凹みました。こういう根は取れやすいというのは分かっていたのに…痛恨のミス!痛恨の極みです。

気を取り直して。右側はこのまま切り離さずに使うことにしました。で、まずは中央、一番太い幹を切り詰めます。枝が外側(この写真で左側)に向いて生えるよう、そちら側の芽を残して切ります。

エイヤとばかりに切り詰めました。この辺の位置です。もともとここが幹でしたので、変わらずここを幹として作っていくことにしましょう。

バランスを考えて、右側はこの位置で切り詰めています。

先端、ここに芽が欲しいのですが、今のところ葉は出ていません。今後出てこなかったらもうひとつ下の芽の上で切り詰めることにしました。葉っぱが出て来てくれるといいんですが。

もう一か所、枝を落とした後が枯れて残っていましたので、こちらも切り落としました。

頑張ってナイフで形を整えてみたのですが、こんな感じになってしまいました。枯れた枝でなおかつ水をしっかり含んでいたので、切り落とす、というよりはボロボロと崩れる感じでした。また折を見て整形しようと思います。ナイフや彫刻刀を使うより、小さいルーターで削った方が楽にきれいに出来る気がしました。

ここまで出来ました。この写真の右側にも枝があるのですが、それは程よい長さだったので一旦そのままにしてあります。あとは植えるだけ!この素材を一旦バケツの水に放り込んで、鉢の方の準備をします。いつもと同じです。

長寿梅、取り木素材の植え付け

根にしっかり空気が入るよう、今回はプラスチックのスリット鉢を使います。今回は下の方に鉢底石を敷き詰めました。

こいつです。だいぶ前に買ったものなので袋はボロボロです。

さらにいつもの盆栽用土。マグアンプを入れてかき混ぜました。マグアンプはちょっと多め、3〜4つまみ位かな?

高さを決めるために鉢に入れてみます。この状態で根の一番下が用土にくっつくくらいに用土の量を調整しました。

発根位置より下の幹に針金を巻きつけました。わざと螺旋にしています。こうすることでより木が安定してくれることを目論んでいます。発根位置より下はそのうち腐ってボロボロになってしまうので、来年早春あたりの植え替えないし植え直しの時点で切り落としてしまうつもりですので、何も気にせずやってみました。

普通は紐を使って固定するらしいのですが、こちらの方が手軽に出来るのではないかと思います。

ぐるぐる巻こうと思ったのですが、一周しただけでしっかり固定されましたのでこれくらいでやめておきました。それともうひとつ。カルスとその周辺にルートンをまぶしてあります。こちら側には根がなく、このカルスから発根して欲しいのです。多分あと何週間か待てばカルスからも太根が出て来てくれるんじゃないかと思うのですが、切り離して土に植えてしまったらどうなるか分かりません。ダメ元、おまじないレベルです。

針金を用土にしっかり差し込みます。これだけでだいぶしっかりしますので、手を離してゆっくり用土を足していきます。

だいぶ根と根の間に隙間がありますね。ここにしっかり、隙間なく用土を入れることが肝要です。

竹串(このあと爪楊枝)を使って、用土をしっかり詰めていきます。爪楊枝は結構深めになんども突き刺しました。ちょんちょん突いていると、用土が流れ込んでいくのが分かります。

こちら、枝の上から発根した根です。まだ隙間があるのが分かります。こういうところにもしっかり用土を詰め込みます。ただ、爪楊枝などであまり突きすぎると根が浮いて来てしまうので、適当なところで止めておいた方がいいかもです。

用土の量はこれくらいです。まだ根が見えていますが、この下に枝と葉があるので、これ以上入れるのは諦めました。

バケツの水にひたひたに浸け、細かく揺すりました。これで根の隙間にも用土が流れ込み、また用土が締まって木がしっかり固定されます。これで一旦植え付けは終了です。

植え付け後の作業

植え付けた後いろいろ気になったので、いくつか追加で作業しました。

断面の処理

幹も枝も短くしたため大きな傷が出来てしまいましたので、そこにトップジンを塗って保護します。消毒して病気が入り込むのを防ぐと同時に、切り口からの水分の蒸発を防ぐためです。

ボケちゃってますが一番太い幹を切った痕。

爪楊枝の先でトップジンをしっかり塗っておきました。

こちら、細い方にもしっかり塗っておきます。

こちら側は切っていないので何もしていません。この先端からも発芽してくれたらいいのですが、なんとなく無理っぽい気がします。まあ、一番上の芽から枝が伸びてくれればそれで良いのですが。

外に出ている根の保護

枝の上から発根してしまった根は用土の上にむき出しです。気になるのでこちらも保護します。

こちらの根ですね。見えていませんが、この反対側にも少し根が出てしまってします。

たっぷり水を吸わせた水苔を小さくちぎり、ピンセットで置いていきました。置いたら竹串のお尻の方で押さえつけ、落ち着かせました。右に伸びている枝の下にも水苔を通すように置き、動かないように抑えてもらいます。ただ、この右に伸びている枝の付け根にもひとつ芽があり葉がたくさん出ているのですが、こちらは潰れてしまうかも知れません。枝が伸びて来てくれたら嬉しいんですけどね。

反対側にも水苔を。幹に巻きつけるようなイメージで貼っていくとうまいこといく感じです。

葉の量を減らす

水苔を置いた後、切り落とした上の方の幹やら枝を挿し木したのですが、それはまた別の記事に。で、いろいろ終わって眺めていたのですが、葉が多過ぎる気がしましたので、葉刈りまではいきませんが葉の量を減らしてみました。

この辺りが正面かな〜、なんて眺めていたのですが、やはり葉が多い気がします。たくさん発根してくれてはいるものの、肝心の親木から切り離されてしまったので根から上がってくる水の量は相当少なくなっているはず。水が足りなかったら葉ふるいをして自分で葉を落とし、根の分量に見合った新しい葉を出してくれるとは思うのですが、そのまま枯れてしまうのも怖い。ということで、少し葉を減らしました。

例えばこれくらい葉があったら…

これくらいに減らしてみました。量についての根拠はなく、感覚だけです。

この枝はこれくらいさっぱりしました。葉を落とした後が分かると思います。

これくらいさっぱりしました。さっぱりといってもまだまだたくさん葉が残っています。いわゆる葉刈りではないのでこんなものでしょうか。

今回の作業はこれで終わりです。お疲れさまでした!

今後の管理

今年いっぱいはこのままで灌水のみのつもりです。夏の暑さが落ち着いて来た頃、少し施肥するかも知れませんが、マグアンプを元肥として用土に混ぜてあるので必ずしも必要ないかも知れません。まずはしっかり根付いてくれることが最優先。根付いてくれれば葉が出て来たり新梢が伸びて来たりと兆候が出てくると思います。

こちらの長寿梅、針金はあまり使わずハサミだけで仕立てていきたいと思っています。針金は上に向かって伸びた新梢を伏せる時くらい、と思っています。ハサミだけで仕立て、細かい枝がたくさん出来るまで何年かかるでしょうか?かなり長いこと楽しめそうです♪

親木の様子

さて、親木の方もほったらかしには出来ませんので、切り離した跡の処理だけしておきます。処理といってもトップジンを塗っておくだけです。

取り木を切り離した後の親木です。切り落とした幹の残りには芽がひとつもありませんので、分かれ目のところから切ってしまった方がいいのですが、何かの間違いで胴吹き芽が出て来てくれるんじゃないかと淡い期待を持って残してあります。

ちょうど以前取り木をして失敗し、傷になっていたところです。断面の左側、茶色く枯れているところですね。

ナイフで面取りをするように形を整えました。形成層が少しだけ緑色になっています。ここからどうにかなる訳ではないのですが、もしかしたら胴吹き目が出て来てくれるかも!?

トップジンをたっぷり塗っておきました。

こんな風に伸びています。角度を変えて見てみると…

根元から太く真っ直ぐ伸びている幹はどうしようもありません。途中から新梢が出てくれればいいのですが、それでもちょっと難しそう。ということで、来年取り木をしてみようと思います。まだ6月だし、今すぐやれば間に合うのですが、どうしよう…?

次回取り木をする時は上(右)の先端に近いY時のところ、その下の分岐点、さらにその下、と、3〜4カ所同時に取り木を掛けてしまおうと思っています。

最終的には根元から上に伸びている細い枝を幹として、小さくしてしまうつもりです。そこまで出来たら下のひこばえも切り離し、別素材として使おうかな、と思います。

今回たまたま上手くいっただけかも知れませんが、取り木はそんなに難しくないかも知れません。最初の環状剥皮を丁寧にやり、途中の灌水も忘れずにしっかり湿度を保っていれば、ちゃんと発根してくれると思います。親木が元気一杯で樹勢が良好であることが大前提ですが。

長寿梅 (チョウジュバイ)
シェアお願いします♪
フォローお願いします♪
いいね!お願いします♪

コメント