昨年2月の終わりに植え替えた長寿梅、あんまり調子が良くありません。先日挿し穂を採った長寿梅、確か太い根があったはず。ということで、植え替えついでにその根を使って根伏せをしてしまおうと思います。
植え替える長寿梅の様子
今回植え替える長寿梅はこんな感じ。
先日挿し木をする時に追加で挿し穂を取ったやつです。
もう芽が動き出して葉が開き始めちゃってます。
こちらは根元。緑のぬらぬらだけでなく、苔も生えちゃってます。というか、去年苔をいじった時にカケラをこの辺のくぼみにはっつけておいた気がします。まさか活着して増えるとは!
なんだか元気に育っているのでもったいないのですが、これは剥がしちゃいます。で、根っこを束ねるための針金も見えています。何本か太いのがあって、それを束ねて形を作った気がするのですが、どうかな?
では早速やっていきましょう。まずは鉢から出して根伏せから。
長寿梅の根伏せのやり方
伏せる根の準備
プラ鉢をグネグネと揉んで用土を緩めます。
スポッと抜けました。ここから指で優しく揉んで用土を落としました。
まず根を束ねていた針金を外します。
結構ガッツリ巻いてありました。針金を解くようにすると細根を巻き込んでしまうので、途中切りながら外していきました。
針金を外しました。太い根が2本あります。これを根伏せ素材にしてやろうと目論んでいます。
太い根の付け根はこんな感じ。一応親木の方にもそれなりに根を残さないといけないので、どこで切るかはよく考えないといけないですね。
その前に、根元についた苔をサルベージします。
多分ホソウリゴケだと思います。これをピンセットで摘んで剥がして…
先日植え替えた三河黒松の鉢に乗っけていきます。ピンセットで鉢の縁をコンコンと叩けば大体落ちてくれますが、くっついて落ちないものは霧吹きで吹いて用土の上に蒔いてしまいます。
最後にもう一度、近めの位置から霧吹きで水を強めに吹きかけ安定させます。用土の粒々の間に苔のカケラを落としていくイメージです。
こんな感じになりました。一年経ったらそれなりに広がってくれるかな?これくらいの鉢なら2〜3年待てば全体に広がってくれそうなもんなんですが、植え替えしなかったらいけるかも知れませんね。
採っても採っても、いくらでも出てきます。思ってたよりもしっかりたくさん生えていました。
さて本題に戻って。太い根は結構元の方から切ってしまいました。これで親木の方にどれくらいの根が残るのか、正直分かっていません。かなりのギャンブルです。
残った親木の根はこれくらい。相当量減ってしまいましたが、まだある程度の細根が残っています。親木が生き残るのはかなり厳しいとは思いますが、これくらいあればギリギリいけるんじゃないかと思います。
切り落とした根、すなわち根伏せ素材はこちら。細根が多く、形がちゃんと見えません。
ゆっくり丁寧に根をほぐしていきます。最初に出て来たのはこの長く延びた走り根。爪楊枝かそれよりもうちょっと細いくらいの太さですので、芽が出るかどうかは微妙ですが、せっかくなのでこれも根伏せしてみることにします。
この2本の太根、このまま2本で植え付けるか、バラして植えるか。結構悩みましたが、しばし思案の末バラすことにしました。
細根が絡み合っていてバラすのにかなり苦労したのですが…
なんとかバラせました。丁寧にやったので時間がかかりましたが、それでも細根がいくらか落ちてしまった気がします。ただ、落ちた細根は黒いのが多かったので、枯れてしまっていた根が落ちただけかも知れません。この写真は確か太い方だったかと思います。
根もちょっと太めのが二股になっているので、将来的にはこの辺を立ち上がりに持ってきたらいい具合になるんじゃないかと思います。
こちらは細い方。2本まとめて針金を掛けていたので、ふたつとも同じような形になっているのはまあ、しょうがないですね。
将来的に幹になる部分=地表に出る部分の細根はハサミで根元から切り落としてしまいます。
こんな感じです。
全体像はこんな感じになります。このあと下の方の細根も捌きますが、ある程度は残しておいた方がいいようです。私は植え付けるのに邪魔にならない程度に、できる限りたくさん残します。
太い方も同様に処理していきます。
細い根がたくさん生えているのですが、上の方のは全部根元から切ってしまいます。
これ、下に向かって伸びるぐるぐると回った根なのですが…
植え付けるのに邪魔になるので切ってしまいました。爪楊枝よりちょっと細いくらいなので根伏せしても発芽はしないだろうと思うものの、もったいないのでいくつかに切って根伏せにしてみようと思います。
こんな感じで植え付ければいいのかな〜と悩んでいるところです。
これ、さっき切ったながーい根です。
ちょっと別れていたり、形も真っ直ぐでもなく少しガコガコしているので、悪くないと思うんです。
これはその下かな?細根をぐるぐると巻きつけていますが、後で取ってしまいました。
これは一番先端かな?形としては面白いんですが、いかんせん細いので発芽は難しいんじゃないかと思います。
長寿梅の根伏せ
処理した根はいったん全部水に浸けておきますが、水の中でシャバシャバ洗って枯れた細かい根をできるだけ洗い流しておきます。
先に鉢を準備しておきます。いつもの通りゼオライト+配合用土です。
まずは太い方から。植え付け位置を微調整中です。
鉢に根がくっつかないような位置にしたいのですが…
この微妙に太い、というか硬い根が邪魔をしてうまく位置が定まりません。
ということでプチッと切ってしまいます。
細いヒゲ根がなかったので、根を切ったところには気休めにルートンを塗っておきました。
一生懸命で途中の写真はなしです。こんな位置に植え付けました。
用土に入らなかった根がありました。たいして大きくもなかったし、なくてもいい感じでしたので、これは諦めて切ってしまいました。
じょうろでたっぷり水をかけて用土を締めて出来上がりです。
こんな感じに、根が鉢に触れないようにしました。別に触れていても大勢に影響はないと思うのですが、今後夏になって暑くなった時に鉢の熱が伝わったら嫌だな、と思ったので。
ひげ根だったりまだ白い若い根が表土上に出てしまっています。これは保護してやった方が良さそうな気がしたので…
細かくちぎって水をしっかり吸わせた水苔を鉢全体に乗せ、保護しています。
根と根の隙間、根と用土の隙間にもピンセットを使って水苔を押し込んでいます。
反対側から見たところ。
これはどうしようか迷ったのですが、断面から雑菌が入り込まないよう、トップジンMを断面に塗りました。
これでひとつ目はおしまいです。続いて細い方を植え付けます。
やり方はさっきと同じ。さっきもそうでしたが、細いひげ根がたくさんありますので、根と根の間にしっかりと用土が入り込むように、爪楊枝や竹串で丁寧に突きながら用土を少しずつ入れていきました。
植え付け位置も大きい方と同様、こんな感じです。
最後まで用土を入れたらこちらもじょうろでたっぷりと水をかけて用土を締めました。
植え付け位置もこんな感じ。根が鉢に触れないようにしています。
ひげ根は用土上にはなく、太根だけなのでこのままでもいいのかな、と思うのですが…
やっぱり心配なので細かくちぎった水苔を全体に貼っています。
こちらも断面をトップジンMで保護しています。
これで細い方も植え付け完了。あとは残った細いのを束ねて植え付けてしまいます。
こんな感じにしようかと。
ただ、ここんとこがどうしても気になったので…
切ってしまいました。切らない方が良かったのかな?
いきなり完成。実はこれが一番苦労しました。
こんなほっそいので芽が出てくるとは到底思えませんが、ダメもとでやってみるのです。1〜2本でも発芽してくれたら面白いんだけどな。
これで長寿梅の根伏せは終了です。お疲れさまでした!…っていうか、マジ疲れたわ…。
長寿梅の根伏せのやり方について考えてみる
実はこれだけやってみて、本当に芽が出てくるのかどうか全く自信がありません。長寿梅に限らず、今まで根伏せは何度もやっているのですが、すべて根のほとんどを用土の中に植え、1cm程度を表土上に出し、それを水苔で覆う、というやり方をしていました。芽が出てくることも出てこないこともありましたが。
今回は伏せた根のかなりの部分を表土上に出していて、これでは根が枯れてしまうんじゃないかと思うのですが、教科書にしている群境介さんの「図解・ミニ盆栽10 ボケ・チョウジュバイ」という本にはこのやり方で「先端から萌芽する」と書いてあるのです。本来なら以前のやり方を踏襲するのですが、今回は根の形が特殊でどうしても断面だけを表土上に出すことができず、やむをえずこんな風に植え付けています。
結果どうなるかは分かりませんが、まあやってみましょう。
今後の管理とか
萌芽するまではあまり日の当たらない盆栽棚の下の方に置いておきます。どれくらいで芽が出てくるか分かりませんが、まあ2〜3ヶ月、5月くらいには出て来てくれるんじゃないかと思っています。
表面の水苔が乾いてきたら灌水というのは基本なのですが、それに加えて表土上の根に出来るだけ頻繁に霧吹きで水をかけるようにしたいと思っています。やはり”根”なので、霧吹きするとしっかり水を吸ってくれるのです。これが意味のあることなのかないことなのか、いいことなのかよくないのか分からないのですが、なんとなくやっといた方がいいかな?という感じです。
こんな太根のついている苗は実はなかなかないんじゃないかと思います。ラッキーなことにこんな太根が入手できましたので、少なくとも太い2本だけでも、萌芽してくれることをほんとに祈っています。
親木の植え付け
根伏せに夢中になっていてすっかり忘れていた親木。まだ諦めたわけではないので、ちゃんと植え直しておきました。自分でもびっくりしたのですが、写真を一枚も撮っていなかったようです。根伏せで疲れてしまったのか、比較的どうでも良かったのか。まあ、無事に根が付いたらまた登場することもあるでしょう。
コメント