昨年拾って来た松ぼっくりの種が発芽しましたが、ボチボチ軸切り挿し芽をする時期になって来ました。今日は様子見と準備です。まだちょっと早い気もするのですが、中心の本葉が動き始めたのでやってしまいます。ついでに一緒に生えて来たヤマモミジも軸切り挿し芽しちゃいましょう。
軸切り挿し芽する黒松
今回軸切り挿し芽をする黒松です。
これ。水苔の苗床に蒔いた黒松です。ここには「沈まなかった」黒松の種子を蒔いています。
中はこんな感じ。結構たくさん発芽してくれていますよ。
これなんか、中央の本葉が大きくなり始めています。そろそろ軸切り挿し芽の時期と思います。
こちらも同様、そろそろですね。
これなんかは枯れそうなんですが、中心の眼は元気そうなので、一緒に軸切り挿し芽しちゃいます。
これももう時期かな?
こちらは一緒に生えて来たもみじ。ヤマモミジかイロハモミジか分かりませんが、多分ヤマモミジでしょう。ついでなのでこの2本も軸切り挿し芽してしまいます。
軸切り挿し芽 挿し穂の準備のやり方
1日目はそれ程やることはありません。先日のヤマモミジと同じように、根を切って丸一日メネデールに浸すまでです。
ヤマモミジの時と同様、小さな容器にメネデール水溶液を入れておきます。準備っちゃあそれくらい。
軸切り挿し芽に適期と思われる、中心の本葉が動き出している芽を引き抜きます。水苔から生えているのでスルッと抜けると思ったのですが、結構抵抗がありました。
そこそこ根が張っていました。どうせ切っちゃうので根を大事にする必要はないんですけどね。
抜けたら根の先を先ほどのメネデールに浸けておきます。とりあえずです。
まとまって生えていたので、2本まとめて抜いてしまいました。芽の状態は同じような感じですね。
軸から根までの長さはこれくらい。結構長く伸びています。
これはさっきの双葉が枯れてしまっているやつ。ほっといたら枯れてしまうし、中央の本葉はそこそこしっかりしているように見えるので、これも挿し芽します。
これなんかはまだちょっと早いかなー、と思ったのですが、これもやってしまうことにします。こんな感じで結局8本、黒松を選びました。それとヤマモミジ2本、これも小さいですが軸切り挿し芽してみます。
苗は引き抜いたらすぐにさっきのメネデールに浸け、根先が乾燥しないようにしておきました。では軸を切っていきます。
使うのはいつものこれ、百均のカミソリです。出来るだけ新しいものを使います。
どれくらいの長さに切るか検討してみました。3cmだとさすがに長すぎると感じますし、かといって1cmだと短すぎ?ということで、今回は全て双葉の下2cmで切ることにしました。
いつものようにスパッ!と切ります。ちょっと短かったみたいですが、それ程神経質になる必要はありません。こんなもんかな?
やっぱりちょっと短い…。こんな風にせっせと根を切り落としていきました。
これはまずまず上手くいったかな?この辺からだんだんいちいち測るのがめんどくさくなり、なんとなく目測で切るようになりました。こんなのはテキトーで全く問題ないのです。
例年よりもちょっと長めな気がします。あ、この苗に付いている殻は外してしまいました。双葉がかなり枯れちゃってますからね、くっつけておく意味がないと思ったので。
これなんかちょっといい曲がりが付いているんですけどね…
切っちゃいました!
全部で10本、切り終えました。きちんと断面がメネデールに浸かっていることを確認します。この状態のまま、丸一日しっかりとメネデールを吸わせます。ということで、1日目の作業はこれでおしまい。簡単です。
軸切り挿し芽 芽を挿して固定する
さて翌日になりました。23〜4時間はメネデールに浸けておいたのですが、どうなっていますでしょうか?
特にどうもなっていなかったです。まあ昨日の今日なので当たり前ですが。ただ、萎れている訳でもないので一安心。
では挿し床の準備です。このペットボトルに挿していくのですが、これはこちらの記事の最後にちらっと紹介しているもの。これまでヤマモミジの軸切り挿し芽の鉢が入っていましたが、ヤマモミジには退去してもらいました。ヤマモミジの方はどうするかまた考えます。
この上に鹿沼土の微粒という目の細かい用土を敷きたいのですが、これではちょっと盆栽用土が多すぎるので、少し減らします。
結構減らしたつもりだったのですが、こうやって見ると大して減っていませんね。まあいいや、表面を均し、ここに鹿沼土を加えます。
こういうやつ。かなり細かいので挿し芽にはちょうどいい気がしています。あとこの袋、チャックになっているのがまた地味に便利。用土の袋は全部チャック付きにしてくれたらいいのになぁ。
結構入りました。これでもまだ浅いかもしれませんが、こんなものでしょう。
これをバケツの水に浸し、ゆっくり揺すります。鹿沼土の表面まで水が来るように、でも上から水が入らないように、と気を使いました。目的は2つ、用土にしっかり水を吸わせることと、鹿沼土の表面をきれいに均すためです。
こんな感じになりました。なぜだか分からないのですが、この鹿沼土を使うと不思議と表面がきれいに均されます。
このペットボトルの挿し床、構造上底に少しだけ水が残るようになっています。あとで蓋をした後内部の湿度を高く保ちたかったので敢えてこうしてみたのですが、逆に蒸れちゃうかもなー、と不安になりました。今度作る時は今回の結果を見つつ、もうちょっと考えます。
ここまで出来たら準備は完了。芽を挿していきます。
表面が荒れてしますが、左側に穴を10個開けました。右側を全然使っていないのは、後で長寿梅の挿し木をするため。スペースを空けてあります。
すっかり忘れていたルートンを水で溶いてペースト状にしておきます。水を少なめにして練る感じでしょうか。なかなか溶けないのですが、指の腹で押しつぶすように水に馴染ませるとなんとなく上手くいきました。
そうそう、挿す前にこれも準備しておきます。細い針金を短く切ってV字に曲げたもの。あとで芽を固定するのに使います。
まずはこの枯れそうな苗。断面とその少し上の軸にまでしっかりルートンペーストを塗ります。
これくらい付けました。後で水で用土を締める際にほとんど流れてしまうと思っているので、これくらいたっぷりでも大丈夫でしょう。
これをさっき開けた穴に挿します。断面に傷を付けてはいけないので、挿すというよりもストンと落とし込む感じでしょうか。今回、この時点では用土を押し固めたりはしていません。
次はこの元気なやつ。ちょっと首が曲がっていますが、これが内側を向くように挿しました。全部終わったらペットボトルの挿し床に蓋をするので、ペットボトルの外側に葉が飛び出したりしてしまうとちょっと具合が悪いのです。
こちらもさっきと同様、穴に落とし込みますが、向きにだけ気を付けます。こんな感じで挿していきます。
2本挿したらその間にさっきのV字型の針金を刺し、苗がくるくる回ったり動いたりしないように固定します。双葉が枯れ始めているのが2本あったのですが、この2本には針金は使いませんでした。
2列目にいきます。ここでも苗が内側に向くように挿します。
挿したら針金で止める、を繰り返し、松の芽を8本挿しました。奥の列の両端には調子の悪いのを挿しています。
最後に残ったもみじ2本も同様に挿します。もみじの方には針金は使っていませんが、使った方がいいのかも知れません。
全部挿し終わったところ。最後にこれを水に浸け、挿し芽に密着するように用土を締めます。
さっきと同様、用土の上ヒタヒタのところまで水が来るようにゆっくり沈めます。水が上がってくると用土の表面が崩れ、穴が塞がるのが分かります。この時は極ゆっくりと少しだけペットを揺すって表土を均しましたが、それはしなくてもいいかも知れません。
ヤマモミジを挿した穴が深すぎたのか、本葉が用土に埋まってしまいました。これは本葉の周りの用土を針金でそっと退かしておきました。
かなり深く挿した感じになってます。もうちょっと上に引き上げようかとも思ったのですが、触らないことにしました。
根元の用土が締まっているのが分かります。
こちら、枯れそうな苗ですが、一応固定されたようなのでこれでよしとします。
こちら、もう一本のヤマモミジもかなり深植えになっていますね。双葉の下ギリギリまで挿さっています。
こちらもほぼほぼしっかり用土が締まっていると思いますので、これでしばらく様子を見ることにします。
最後にそーっと蓋を被せて終了です。お疲れさまでした!
今後の管理とプラン
このペットボトルの挿し床、陽が当たらない明るい場所に置いておきます。根が出るまで2〜3週間かかると思います。中央の本葉が伸び始めたら成功なのですが、どうなるでしょうか。
ほぼ密閉された状態なので、灌水はほとんどしなくていいと思います。ペットの底には水も溜まっていますので、余程乾かない限りは灌水もなし、このままにしておくと思います。怖いのはむしろ蒸れてしまうこと。まだそれほど暑くなっていないので大丈夫だとは思うのですが、中の湿度があまり高くなってしまっても困りものです。あんまりあったかい日が続くようであれば、上のキャップを外すとか上半分を外して10分くらい外気に当てるとか、何か対策をしないといけないですね。
単に湿度を高く保てばいいというものではなくて、葉から水分が蒸散することで発根が促進されると聞いていますので、あまり甘やかすのも良くないのかも知れません。バランスの取り方が難しいところです。
あとは5月半ばくらい?ゴールデンウィークの後半?に長寿梅の葉刈りをし、同時に徒長枝を落としてそれを挿し木してみます。
軸切り挿し芽は最近全然うまくいかないので半分ダメ元でやっていますが、今回はいろいろいつもと違うやり方をしているので、うまくいくかも?とちょっと期待しています。
そうそう、ペットボトルから追い出されてしまったヤマモミジの軸切り挿し芽ですが、ペットボトルの上側を被せています。まだ根がしっかり出てきたとは思えないので、もう1〜2週間、あるいはそれ以上このまま入っていてもらうつもり。今は簡易的に上を被せているだけですが、今回の挿し床のようにちゃんとしたものをもう一つ作るつもりです。今日の作業前に被せたのですが、既に内側が曇り始めています。湿度がしっかり保たれている証拠です。
これ、湿度が保たれるだけでなく風が全く当たらなくなるので、風で芽が動くこともないし葉からの蒸散も押さえられます。軸切り挿し芽には悪くないんじゃないかと思っています。もしヤマモミジや今回の黒松なんかがうまく根付いてくれるのであれば来年以降も使ってみようと思います。
コメント
初めまして、JTと申します。
以前会社の忘年会で「ソダテマス」という黒松の栽培キットが当たり、5つの種の内、2つが発芽しましたが、4,5cm育った所で枯れてしまいました。
松ぼっくりに黒松の種がある、という記事を別のブログで知りました。
3つほど種があり、今回は失敗しないように管理人さんのブログにたどり着き、同じように軸切り挿し芽をしました。
さてこの後、管理人さんのペットボトル黒松はどうなったのでしょうか。
その後の記事を教えて頂ければ幸いです。
水はもう与えなくてよいのでしょうか。植え替えはいつどうするのでしょうか。
よろしくお願い致します。
JTさん、コメントありがとうございます。
えーと、まずこの黒松なのですが、残念ながら全部枯れてしまいました。この記事を参考にして枯らしてしまったのであれば、なんだか申し訳ないです。。枯れてしまった理由はいくつかあるのですが…
1.軸切り挿し芽をする時期が早すぎた
YouTubeなどで黒松の軸切り挿し芽のやり方を投稿している方がおられるのですが、皆さんもっと成長してから軸切り挿し芽をしていました。ポイントは「軸が赤く」なってから、ということらしいです。この記事ではまだ軸が緑色のうちに挿してしまっていて、これだとまだ早いようです。また中央の芽(本葉)も、もっとわさっと伸びてきてからでいいようです(この記事だとまだ芽が膨らんだ程度でさしちゃってると思います)。YouTubeで「黒松 軸切り挿し芽」で検索するといくつか出てくると思います。
2.ペットボトルの蓋はどちらかといえばない方がいい
この記事では実験的に蓋をしていますが、風の(ほとんど)ない直射日光の当たらない明るい場所に置けるのであれば、蓋はない方がいいと思っています。最近の私の記事でペットボトルを被せているのは風がものすごく強いからなのですが、しなくていいならしない方がいいと感じています。ペットの蓋をすると中の湿度がものすごく上がるので、蒸れて萎れてしまうことがよくあるのです。
この2つが枯れてしまった原因なのではないかと思っています。
また、水やりは必要です。ペットを被せるとなかなか蒸発しないので水やりの頻度は減りますが、やはり必要です。水をやる時は近くからドボドボとかけるのではなく、出来るだけ目の細かいジョウロを使って遠目から優しくかけてあげた方がいいようです。そうしないと挿したばかりの芽が動いてしまいますので。
植え替えは基本翌年でいいです。しっかり根を生やしてもらって、樹勢がついてからです。今年生えてきて軸切り挿し芽をしたのであれば、早くて来年の春くらいでしょうか。
私自身もヘタクソですぐに枯らしてしまいます。が、懲りずに毎年やっています。今年もやっていますので、また見にきていただければと思います。タイミング的にちょっと遅いですが、今から種を蒔いてもまだ発芽すると思いますので、通販などで黒松の種を入手してトライしてみてはいかがでしょうか。
こんばんは、JTです。
早速、詳しい回答ありがとうございます。
>ポイントは「軸が赤く」なってから、
前回は軸が赤くなる前に枯れてしまいました。私の場合、発芽の段階で問題ありそうです。
Youtubeも見てみます。
>2.ペットボトルの蓋はどちらかといえばない方がいい
了解です、早速外しました。
>今年もやっていますので、また見にきていただければと思います。
参考にさせて頂きます。
しかし盆栽は予想外に難しいのですね。
それでは。
おはようございます。
早い段階で枯れてしまったんですね。なんとも言えませんが、枯れてしまったということは何か原因があるのでしょう。種が古かった(採取してから時間が経っていた)ということもあり得ます。
いろいろなブログやYouTubeを見ていると皆さん簡単そうにやっているのですが、難しいと思います。通販で実生一年目の苗とかを安く売っていますので、最初はそういうのから初めてみるのもいいかも知れません。
軸切り挿し芽も必ずやらないといけないというものでもないので、例えば生えてきた分の半分は軸切り、残りはそのまま育てる、というのもぜんぜんアリだと思います。
せっかく盆栽に触れる機会があったということなので、ぜひもう少しだけ、続けてみてはいかがでしょう?黒松だけでなく、もみじやサルスベリなんかも公園で種を拾ったり出来るので、初期投資はそんなにかからないと思いますし。
こんばんは、JTです。
ご無沙汰しております。
ペットボトル黒松、早々に成長が止まり、やはり枯れてしまいした。
来年の春にまた再挑戦してみたいと思います。
JTさん、おはようございます。
黒松、枯れてしまったんですね。うちも30〜40本(もっと?)発芽したんですが、結局今残っているのは6本だけ。しかも全部軸切りしていないものです。私も来春には再挑戦するつもりでいますので、今度こそうまく育って欲しいですね。種は今年のものを入手してすぐに採り蒔きし、屋外で冬を越させるつもりです。
そちらもぼちぼちとブログにレポートしていきますので、一緒にがんばりましょう!